借金の相続放棄 知って3カ月以内なら可能

2019年08月13日

借金の相続放棄 知ってから3カ月以内なら可能 最高裁初判断

 

 死亡した父が伯父の債務を引き継いでいたことを3年後に知った子が、その時点で伯父からの相続を放棄できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は9日、「 債務の相続人になったと知ってから3カ月以内であれば放棄できる 」との初判断を示した。裁判官4人全員一致の意見。

 民法は、相続の開始を知った時から3カ月の熟慮期間内に相続するか放棄するかを決めるよう定める。大都市圏への人口流入が進んで家族関係が希薄化する中、知らないうちに親族の債務を相続していたとの事例も増えているとみられ、最高裁が時代に沿った法解釈で同種事例の救済を図ったといえそうだ。

 原告の伯父は20126月、債務を抱えて死亡。父は伯父の債務を知らず、相続するかどうかを決めないまま1210月に亡くなったため、原告は伯父の債務も相続する立場になっていた。

 訴訟では、熟慮期間の起点が争点となった。民法が制定された明治時代から続く有力な解釈に従えば、起点は父が亡くなった1210月で、この時点から3カ月以内に、父の財産状況を調べて伯父の債務を把握し、相続するかどうかを意思表示する必要があった。

 しかし、原告は伯父やその家族と付き合いがなく、父の死亡から約3年後の1511月、債権回収についての通知を受けて初めて伯父の債務を引き継いでいることを知った。原告は通知から3カ月以内の162月に「相続を放棄する」とした。

 小法廷は判決で「父からの相続を知ったからと言って、父が伯父の相続人であったことを知り得るわけではない」と指摘。父の死亡時から熟慮期間が始まるとするのは、相続の承認・放棄を選択する機会保障を定めた民法の趣旨に反すると述べた。

 そのうえで、原告は債権回収についての通知を受けた1511月に伯父から父に引き継がれた債務を知ったとし、これが熟慮期間の起点になると認定。相続放棄は熟慮期間内で有効と認め、無効を訴えた債権回収会社の上告を棄却した。

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