省エネ性能表示 仲介事業者の協力重要に

2023年05月29日

国土交通省は26日、第4回「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」(座長:中城康彦明海大学不動産学部教授)を開催した。

 

建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度は、2016年4月施行の建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律によって定められたもの。現行法では、建築物の販売または賃貸を行なう事業者に対して、販売・賃貸する建築物について、エネルギー消費性能の表示に努めなければならないこととされている。改正法(22年6月公布)では、建築物の販売・賃貸時の表示事項および表示方法等の遵守事項を国土交通大臣が告示で定めるとともに、告示に従って表示していないと認める場合、国土交通大臣が販売・賃貸事業者に対し、告示に従って表示を行なうよう勧告することができるなどの措置が追加された。

 

それを受け、国交省は、同検討会を22年11月に設立。建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の新たな表示ルールについて議論を重ね、23年3月にとりまとめを公表している。今回は、同とりまとめを踏まえ、表示ルールを規定する告示・ガイドライン、広告等に表示するラベルデザインの案について議論した。

 

告示案では、建築物省エネ法に基づき、建築物のエネルギー消費性能に関し、販売事業者等が表示すべき事項および表示の方法、その他建築物のエネルギー消費性能の表示に際して販売事業者等が遵守すべき事項を定めた。表示すべき事項として、住宅(新築)については、住宅部分の外皮性能および一次エネルギー消費量に係る多段階評価を示している。

 

ガイドライン案では、制度の趣旨および内容、各関係主体における取組内容や取り組みにあたっての留意事項等を示すことにより、制度についての関係者の理解を深め、制度の円滑・適正な施行を確保するとともに、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示の望ましいあり方を示した。

 

建築物の販売・賃貸事業者はもちろん、仲介事業者・賃貸管理事業者、広告関連事業者等も対象に設定した。特に仲介事業者については、勧告等の措置の対象外ではないものの、販売・賃貸事業者からの委託を受けて、仲介目的の広告等を行なう際に、併せて省エネ性能の表示を実施することが想定されるとした。この場合、仲介事業者は、当該建築物の広告等に際して省エネ性能を表示する、あるいは表示されるように情報を伝達する役割を担うべきとしている。

 

この記載について、委員からは「表示制度の充実においては、仲介事業者の協力がかなり重要になる。もう少しその旨が伝わる書きぶりが必要」という指摘があった。また、ガイドライン案には、仲介事業者が消費者に説明する際などに使用する評価書の書式案についても示しているが、委員からは「専門用語等に配慮し、仲介事業者が消費者へ説明しやすい項目設定をすべき」という意見があった。

 

ラベルは、4月にデザイン案を一般募集したところ、29者から43作品の応募があった。事務局と同検討会の委員による事前審査で7作品を選定。今回はその中から、採用する1作品を選定した。参考にする作品は決定したものの、委員からは「項目の優先順位を設定するなど、消費者目線に立って分かりやすくなるように要素を絞りこんだ方がいい」「最終的に決定した1作品だけをベースにするのではなく、7作品それぞれの良い点を踏まえて最終デザインを決定すべき」という意見も挙がった。

 

告示・ガイドライン案についてパブリックコメント募集。7月上旬頃に関連告示の公布、ガイドライン(第1版)の公表を行なう。ラベルは、今回出た意見もとにブラッシュアップして最終デザインを決定する。24年4月に改正法に基づく表示制度の施行を予定している。

 

なお、既存住宅の表示関係については、24年10月頃に代替表示の案を、25年4月に素案を提示する予定。とりまとめを踏まえた検討状況について検討会に報告する。

 

 

 

 

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