マンションの修繕積立金 適正上げ幅を検討

2023年10月31日

国土交通省は30日、マンションの区分所有者が毎月払う修繕積立金について、適正な引き上げ幅を検討する作業部会の初会合を開いた。増額幅が大きすぎて支払いが困難になるケースが生じている。マンション管理に地方自治体がお墨付きを与える制度の基準に、適正な幅を盛り込む方向で検討する。

 

作業部会は主に2つのテーマを議論する。一つは、マンションの修繕計画や積立金の状況を自治体が認定する「管理計画認定制度」の基準を見直す。修繕積立金の適正な引き上げ幅について新たに盛り込む方針だ。

 

もう一つは、マンションが管理組合の規約をつくる際に参考にするよう国が定めた「標準管理規約」を見直す。管理組合員が所在不明で修繕などの決議をとりづらいといった問題が発生している。

 

組合員の住所が変更になった場合の届け出の提出や、名簿の更新について規定をつくる。区分所有者が所在不明で弁護士などに探索を依頼した場合の費用を請求する仕組みも検討する。それぞれ2023年度中に検討の方向性を示す。

 

一般的なマンションは築年数の経過に伴い、共用部分にあたる壁面や排水管などに大規模な修繕工事を実施する。修繕費の徴収方法は修繕計画に基づいて毎月同じ額を徴収する「均等積立」と、段階的に額を増やす「段階増額積立」の2つがある。

 

段階的に増額する方法だと、計画当初に比べて最終段階の増額幅が大きすぎて住民合意がとれないトラブルが相次ぐ。資金不足で修繕工事が延期されるケースもある。国交省の調査では、増額幅は平均3.6倍で、10倍を超える事例もあるという。

 

国交省は管理組合の決議がいらない均等積立を推奨してきたものの、普及していない。デベロッパーなどが分譲時に当面の経費を少なく見せることができる段階増額を採用することが多いためだ。

 

マンション管理体制が良好だと自治体がお墨付きを与える「管理計画認定制度」の認定実績は23年9月末までで212件となった。認定を受けた築20年以上の建物は居住者の固定資産税が軽くなる。国交省は認定取得を拡大するため、認定基準などの見直しも検討する。

 

 

 

 

 

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