相続登記にンライン活用 旧姓併記も認める
2024年02月29日
相続登記にンライン活用 旧姓併記も認める
所有者が不明な土地の解消に向け、法務省は、4月に始まる相続登記の義務化に合わせて省令を改正する方針を固めた。
オンラインを活用した簡易な手続きを設けるほか、結婚前の旧姓を使いたい人やDV(家庭内暴力)の被害者らに配慮し、旧姓併記や現住所とは別の住所を載せることを認める。義務化による手続きの負担を軽減し、登記を促す狙いがある。
政府は2021年、相続時に登記が変更されないなどの理由で所有者不明の土地が増加傾向にあることから、不動産登記法を改正。今年4月1日から、土地の所有者が死亡後、相続人が土地の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化される。正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料が科される。
法務省はこれに合わせて関連する省令を改正する。
改正法では、遺産分割の話し合いで各相続人の持ち分が確定する前でも、相続人だと申し出れば義務を果たしたとみなす「相続人申告登記」が新設された。
この登記の手続きについて、オンラインでの申し出を可能とし、通常の相続登記で必要な押印や電子署名は求めないことにした。他の相続人に関する書類も不要とし、資料を集める負担を軽くした。
土地の所有者について戸籍上の姓での登記しか認めていない現在の仕組みを改め、旧姓併記を認める。女性の旧姓使用が広がっていることを踏まえた措置だ。
結婚の前後を問わず、同一人物が土地の所有者であることをわかりやすく示すとともに、戸籍姓だけの表記に抵抗を感じる人の申請を後押しする狙いがある。
一方、相続人がDVやストーカーの被害者だった場合、その住まいを加害者を含む第三者に知られないようにする必要がある。こうした被害者が載っている登記を第三者が見る場合、代理人の弁護士や支援団体、法務局などの住所を記載できるようにする。
改正省令は3月1日に公布し、4月1日に施行する見通し。
所有者不明の土地は、高齢化や人口減少を背景に、所有者が死亡した後も相続人に名義が変更されないまま放置されるなどして生じる。国土交通省の調査では全国の土地の24%に上る。公共事業で用地買収が妨げられたり、災害の復興事業が円滑に進まなかったりする問題が指摘されていた。