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不動産の相続と遺留分の基本知識・・・トラブルを防ぐための実務ポイント
こんにちは。にし不動産です。不動産の相続は、相続財産の中でも特にトラブルが発生しやすい分野です。
中でも「遺留分(いりゅうぶん)」に関する問題は、遺言書の内容に納得できない相続人との間で争いが起きやすく、解決までに時間と費用を要するケースも少なくありません。本記事では、専門家監修のもと、不動産の相続と遺留分の基本的な仕組み・実務上の注意点について解説します。
1. 遺留分とは?|法定相続人に保障された最低限の権利
遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の遺言や生前贈与によっても奪うことができない、一定の相続人に保障された最低限の取り分です。
■ 遺留分が認められる相続人
・配偶者
・子(またはその代襲相続人)
・直系尊属(親など)
・兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
■ 遺留分の割合(民法1042条)
|
相続人の構成 |
遺留分の割合(全財産に対して) |
|
配偶者と子ども |
法定相続分の1/2 |
|
配偶者のみ、または直系尊属のみ |
法定相続分の1/3 |
2. 不動産相続で遺留分トラブルが多い理由
不動産は、現金や預貯金のように「均等に分ける」ことができない財産です。
そのため、遺言で特定の相続人(例:長男)に自宅や土地を相続させると、他の相続人が「不公平だ」と感じ、遺留分侵害額請求を行うケースが多発します。
典型的なトラブル例
・親名義の自宅を長男が相続し、他の兄弟が遺留分を請求
・生前贈与で一部の子だけが土地をもらっていた
・不動産評価額に対する認識の違い(時価か路線価か)
3. 遺留分侵害額請求の手続きと注意点
2019年の民法改正により、遺留分は「物を取り戻す権利」ではなく、金銭で補償を求める権利に一本化されました(民法1046条)。
■ 遺留分侵害額請求の基本
・請求できる期間:相続開始および侵害を知った日から1年以内(時効)
・請求方法:内容証明郵便などで正式に請求するのが望ましい
対象:不動産を相続した相続人、または生前贈与を受けた者
⚠️ ポイント:
遺留分侵害額請求は、必ずしも不動産の「持分」を要求できるわけではありません。
不動産を取得した相続人が金銭で清算することになります。
4. 不動産評価と実務上の課題
遺留分の算定には、不動産の時価評価が欠かせません。
しかし、評価方法(路線価・固定資産評価・不動産鑑定評価など)によって金額が大きく異なるため、専門家の関与が重要です。
■ 実務で用いられる主な評価方法
・路線価方式:相続税申告などで一般的
・時価方式:実際の市場価格に近い評価
・不動産鑑定評価:争いが予想される場合に有効
5. トラブルを防ぐための3つの対策
公正証書遺言の作成
→ 不動産を誰に相続させるかを明確にし、他の相続人への配慮(遺留分相当の金銭など)を記載しておく。
不動産の評価額を把握しておく
→ 生前に査定を受け、相続財産のバランスを検討。
専門家への相談
→ 司法書士・弁護士・税理士が連携して対応することで、円滑な遺産分割が可能になります。
6. まとめ
不動産相続と遺留分問題は、感情的な対立に発展しやすい分野です。
法的知識と冷静な対応が求められるため、早めの準備と専門家の関与が何より重要です。
💡 まとめポイント
・遺留分=相続人に保障された最低限の取り分
・不動産は「分けにくい」ため、金銭清算が基本
・遺言書の作成と評価の把握がトラブル防止の鍵
➡️ にし不動産 公式サイト・お問い合わせフォームへ https://www.nishi-realestate.com/contact/